社長メッセージ

2025年度方針について
再成長への大きな転換点を迎え、利益創出力のさらなる向上へ
日頃より当社事業活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
2024年度におきまして、当社はコロナ禍を乗り越えるべく筋肉質となった体制のもと、中核事業である飲食店支援事業を中心に売上高を伸ばすことにより、中期事業方針(2023年度~2025年度)に掲げる2年目での黒字転換を果たしました。
再成長に向けた大きな転換点を迎えたことをご報告するとともに、厳しい業績が続いた中、たゆまぬご支援をくださいました株主の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーの方々に、心より感謝申し上げます。
中期事業方針の最終年度である2025年度をスタートするにあたり、当社が経営の基軸とする「食でつなぐ。人を満たす。」という存在意義(パーパス)のもと、豊かな食の未来の実現に向けた積極的な事業展開を継続すると同時に、中長期にわたる株主還元の充実を実現するには、利益創出力を一段と高めることが重要との考えを深めております。他方、当社の主要顧客である飲食店においては、慢性的な人手不足や各種コストの高騰が、経営の重荷となっています。
こうした状況を踏まえ、飲食店の生産性向上に直結する「集客活動」と「店舗運営」、これらをより強力にサポートし飲食店の収益力向上を後押しするとともに、当社事業の中核である飲食店支援事業の成長力を一層引き上げるべく、当社は今年度、以下の方針で臨んでおります。
リピート予約促進・大人数での外食喚起による送客力の向上
① 「楽天ぐるなび」の強化
かつて、消費者が飲食店を探す際の情報源は、当社サイトを含むいくつかの飲食店情報専門サイトに限られていましたが、近年 Google やSNSの利用など多様化が進展しています。こうした中、Webサービスの潮流に左右されず持続的に飲食店への送客力を高めるため、当社は楽天グループ株式会社(以下、「楽天」といいます。)が構築する日本最大級の経済圏“楽天エコシステム”における「楽天ぐるなび」のプレゼンス向上に取り組んでおります。
その一環として、“繰り返し利用するほど”、“大人数で集まるほど”、お得に外食を楽しむことができる楽天会員向けロイヤリティプログラム「幹事ランク制度」を2024年11月に構築いたしました。足元において、ネット予約の利用頻度が高いユーザーほど大人数で外食をされる傾向を確認できており、本制度はユーザーの動向と親和性の高い、大きなシナジーが期待される仕組みであると考えております。
また、「楽天ぐるなび」を訪れたユーザーが最終的にネット予約に至った割合であるコンバージョンレートは、コロナ禍前を大きく上回り高まっており、サイトコンディションは以前にも増して希望のお店を“見つけやすく”、また“スムーズに予約できる”良好な状態であります。
そこで、楽天が展開するさまざまなサービスとの連携強化を軸としつつ、接待からファミリー利用まで幅広い会食ニーズを捉えるべく、優良かつ特徴的な会員基盤を持つ外部サービスとの連携についても、積極的に検討・実施してまいります。これにより、当社サイトへのユーザー流入数の拡大を図り、さらには、「幹事ランク制度」によるリピート予約促進および大人数での外食喚起を図ることで、Webサービスの潮流に左右されない持続的な送客力の向上を図ってまいります。
「幹事ランク制度」の本格稼働を通じ、愛着を持って「楽天ぐるなび」を繰り返し利用するエンゲージメントの高いユーザーを拡大するだけでなく、“幹事に選ばれる・大人数の獲得に強いサイト”という個性を改めて明確化し、加盟飲食店ネットワークの拡大ひいては宴会文化の振興につなげてまいります。
飲食店の集客支援を一手に担う、独自のポジションを構築
② 「マーケティングエージェント」の本格化
消費者側において飲食店検索手段が多様化する中で、飲食店が売上の維持・拡大を図るには、複数の集客ツールを同時に活用しなければならず、これによる業務量の増加は、人手不足に拍車をかけ、現場レベルの低下を招く恐れがあります。
そこで、創業時より大切にしている“飲食店のサポーター”というコンセプトを体現すべく、「楽天ぐるなび」の強化に留まらず飲食店の集客活動全体を一括支援し、売上アップと業務の効率化双方を一度に実現する機能「マーケティングエージェント」の構築を進めております。
なお、飲食店経営者に寄り添い支える当社独自の「人的サポート体制」を活かすことで、当該領域におけるサービスの一つである Google ビジネスプロフィール運用支援商品の利用店舗数は順調に拡大していることから、「マーケティングエージェント」は飲食店のニーズに即した可能性溢れる事業と捉えております。
今後、担当営業と代行プランナーによるきめ細やかなサポート、「楽天ぐるなび」の運営で培った情報発信ノウハウなどを強みに、マーケティング人材が十分でない中小規模飲食店を中心に支援を強化してまいります。推進にあたっては、対応サービスの拡充、AI活用などによるエージェント活動の高度化に取り組むほか、より多くのお店にサービスを提供し、その効果を実感いただけるよう効率的な提案手法についても試行してまいります。
当社といたしましては、慢性的な人手不足に悩まされている飲食店に対して、売上拡大に寄与するだけでなく、業務負荷を軽減し、調理や接客といった「外食ならでは」の体験価値づくりに集中できるよう支援する「マーケティングエージェント」を通じ、外食産業における労働環境の改善にも貢献したいと考えております。
「創って、作って、売る。」を加速し、顧客のニーズに迅速に対応
③ 「商品造成力」の向上
飲食店・消費者双方のニーズに即した有用な商品を次々に企画、開発、提供するには、「創って、作って、売る。」サイクルをこれまで以上に迅速に回すことが重要なことから、 2024年4月に再編した新体制のもと、商品戦略・販売戦略の融合やプロダクト開発業務の効率化などによる「商品造成力」の向上に努めております。
営業スタッフをはじめとする「人的サポート体制」が、飲食店経営者との日々の対話を通じて逸早く察知・収集する飲食店が抱える課題や消費者ニーズの変化などに関する情報は、当社独自の資産と言っても過言ではありません。この情報資産を、「商品造成力」の源泉とし、営業・企画・開発が一体となって素早く試し、商品化することで、上記①②の取り組みの推進力および実効性を高め、飲食店支援事業の成長力引き上げを加速してまいります。
飲食店向けサービスポートフォリオを構築し、新たな成長軌道へ
当社は上述の取り組みを通じ、「楽天ぐるなび」を介し消費者と飲食店をつなぐ力(送客力)をベースに、豊富な商品群の中から、営業スタッフがサポート力を発揮し個々のお店の課題に合わせ適切に提供することで、当社収益を増幅させる独自のビジネスモデルを磨き上げてまいります。加えて、「楽天ぐるなび」の運営に留まらない飲食店向けサービスポートフォリオを構築することで、中核事業である飲食店支援事業を、将来に向けた積極的な事業展開と中長期にわたる株主還元の充実を支えるより強固な安定収益源へと発展させてまいります。
今後も、株主・投資家の皆さま、またユーザー、飲食店、食関連事業者など全てのステークホルダーのご期待に応えるべく、全社一丸となり当社企業価値の向上に努めてまいります。
2025年6月 株式会社ぐるなび 代表取締役社長
