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社長メッセージ

社長メッセージ

2024年度方針について

日頃より当社事業活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

私たちの生活に大きな変化をもたらした新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、2023年5月に5類へ引き下げられたことに伴い、街には賑いが戻り、外食市場が再び笑顔で溢れていることを大変嬉しく存じます。
他方、消費者が外食に出かける際の飲食店検索・予約手段において、 Google やSNSなど従来の飲食店検索サイトの利用に留まらない多様化が進展しており、社会経済活動の正常化による人手不足の再燃・深刻化が経営の重荷となっている飲食店が様々なサービスを使いこなし、収益を高めることは決して容易ではありません。

そこで、飲食店が限られたリソースのもと効率的かつ効果的な販促活動を行えるよう支援すると同時に、消費者により便利にお得に安心して外食を楽しんでいただけるよう、当社は今年度、以下の方針のもと飲食店支援事業の強化に取り組むとともに、2019年度以来5期ぶりの黒字化に全力を挙げて臨んでおります。

2024年度方針

飲食店が旺盛な外食需要を取り込めるよう、販促支援を一層強化

① 「楽天ぐるなび」の強化
~ 楽天会員に選ばれ続けるサイトへ ~

消費者の飲食店予約行動がめまぐるしく変容する中、絶え間なく飲食店への送客力向上を図れるよう、当社は日本最大級の経済圏を持つ楽天グループとの協業のもと、当社サイトに愛着を持って繰り返し利用する「エンゲージメントの高いユーザーの確保・拡大」に向けたサイト変革に取り組んでおります。
その一環として、「楽天ポイント」の貯まる飲食店予約サイトとしての認知拡大を通じた楽天会員による当社サービスの利用促進を目的に、2023年10月飲食店情報サイトの名称を「楽天ぐるなび」へと変更したところ、楽天IDを持つユーザー会員のリピート予約が増加するなど、今後一層のネット予約活性に向けたポジティブな変化が見られております。

ネット予約全体に占める楽天ID連携会員による予約

そこで、楽天会員にとって「最も利得性・利便性高く、繰り返し予約したくなるサイト」への進化を加速すべく、「楽天ぐるなび」のリピート利用を促す会員ロイヤリティプログラムの構築やネット予約とシナジーを生む新たな販促商品の開発などに取り組んでまいります。

またコロナ禍において3名を割り込んでいた1組当たりの平均人数が、まん延防止等重点措置が解除された2022年3月以降増加に転じ、足元2024年3月時点で4.7名まで回復しております。こうした消費者側における宴会ニーズの確かな高まりを踏まえ、居酒屋をはじめとする多くのアルコール業態の飲食店が求める大人数予約の喚起策にも力を入れて取り組んでまいります。

「楽天ぐるなび」経由 ネット予約1組当たり人数の推移(ディナータイム予約)

② 「マーケティングエージェント」の本格化
~ お店の一部となり、集客活動全体の運用効率向上を支援 ~

飲食店の販促・集客手法が複雑化する中において、飲食店が取り組むWeb販促活動を一括支援することで効果の最大化を後押しするエージェント機能の確立に取り組んでおります。2023年度におきましては、営業スタッフを中心とした人的サポート力を活かすことで、当該領域におけるサービスの一つである Google ビジネスプロフィール運用支援商品の利用店舗数が順調に拡大いたしました。
このことから、マーケティングエージェントは当社が創業以来培った飲食店経営者に寄り添い共に業容拡大を目指す「伴走型サポート体制」という強みを、大いに活かすことができる成長可能性の高い事業であるとの認識を深めております。

Google ビジネスプロフィール運用支援商品の利用店舗数

2024年度におきましては、飲食店にとってますます無視できない存在であり、大きなビジネスチャンスであるインバウンド需要の取り込みに有用なサービスをはじめ取り扱いサービスの拡充を図ると同時に、データ活用などによるエージェント活動の効率化・高度化に取り組むことで、飲食店の売上拡大に寄与するだけでなく、複数にわたるサービスの運用に伴い増大する飲食店の業務負荷を軽減するなど外食産業の労働環境の改善にも貢献したいと考えております。

③ 「商品造成力」の向上
~スピーディーな「創って、作って、売る」を可能とする体制整備~

上記①②の取り組みの推進力や実行力を高めるには、飲食店・消費者双方のニーズに即した新商品を的確に企画、開発、提供する所謂「創って、作って、売る」サイクルをこれまで以上に迅速に回すことが重要なことから、2024年4月に再編した新たな体制のもと、商品造成力の向上を進めております。

飲食店・消費者双方のニーズに即した有用な商品開発

具体的には、CX部門とプロモーション事業部を発展的に廃止し、CX部門のうちユーザーマーケティング機能を飲食店支援事業部に、プロダクトデザイン機能を開発部門に移管したほか、メーカーおよび省庁・自治体を対象としたプロモーション支援業務を飲食店支援事業部に移管するなど、機能別に親和性高くシナジー創出可能な他の組織との統合を実施いたしました。

これにより、より精度の高い商品戦略と販売戦略の一体的な立案やプロダクト開発業務の効率化、営業部隊の統括による販売連携などを通じた顧客に対する提案・サポート力の向上を推進し、成果の最大化を図ってまいります。

ビジネスモデルを磨き上げ、新たな成長軌道へ

2024年度におきまして、当社は上述の取り組みを通じ、「楽天ぐるなび」を介し消費者と飲食店をつなぐ力(送客力)をベースに、豊富な商品群の中から伴走型サポート体制が個々のお店の課題に合わせ適切に提供することで飲食店が抱える経営課題を解決に導くと同時に、当社収益の増幅をもたらす独自のビジネスモデルを磨き上げてまいります。
これにより中期事業方針(2023年5月発表)に掲げる黒字化の実現はもとより、2025年度における利益拡大フェーズへの転換を確実なものとし、さらには長期視点にたった新たな価値創造のための積極的な事業展開を支える確固たる収益基盤を構築する所存です。

今後も、株主・投資家の皆さま、またユーザー、飲食店、食関連事業者など多様なステークホルダーのご期待に応えるべく、全社一丸となり当社企業価値の向上に努めてまいります。

2024年6月 株式会社ぐるなび 代表取締役社長

杉原章郎