日本経済新聞 連載『あすへの話題』

2011年6月16日

大豆と日本

 ご飯に納豆をのせ毎朝のように食べている。好きな納豆も、その納豆をよく混ぜてから加えた醤油(しょうゆ)も、添えられる味噌汁も、その具になる豆腐も、全部が大豆を主原料にした食品だ。私の毎朝のメニューはどこにでもある日本の食卓の定番だ。だからこそ、大豆は日本人の生活に欠くことのできない大切な食品の一つだといえる。
 その大豆が今では多くが遺伝子組み換えによるものだという話を聞いた。日本で消費されている大豆は年間約400万トンで国産大豆の自給率は約5%。残りは輸入にたよっており、輸入先は70%以上が米国。そして、米国で生産されている大豆の90%以上が遺伝子組み換えのものだという。
 米国では農薬と組み合わせた品種開発も進んでいるそうだ。ある品種の大豆だけには影響を与えることなく、他の植物は枯らす除草剤を開発する。そのような特許を取得した除草剤とそれに耐性を持つ大豆の種をセットにして販売するというビジネスモデルもすでに現実のものになっている。研究を進めているのは米国だけではない。たとえば中国でも遺伝子組み換えにより、害虫に強いイネが作られているという。
 予測では世界の人口は遠くない将来に80億、90億を超えるとされ、それは食料問題をますます深刻なものにしていくだろう。トレーサビリティや農薬の管理、土地の改良、農産物等の検査、冷凍貯蔵なども含め、質でも量でも食の安心につながる農漁業の産業化へ向け
 大豆の実情を具体的に知り、いつものご飯と味噌汁の有り難さが増した。