日本経済新聞 連載『あすへの話題』

2011年2月3日

囲碁をオリンピックへ

 サッカーのアジアカップで日本代表が優勝した。準決勝の韓国戦は日本時間で深夜1時過ぎの決着になったが、瞬間最高視聴率が40%に届いたというからすごい。
 サッカーが「サムライブルー」なら、囲碁は「知恵の和ジャパン」。私が愛する囲碁もスポーツなのである。日本棋院、関西棋院、日本ペア碁協会が合流して設立した全日本囲碁連合は、昨年、日本オリンピック委員会の承認団体になった。そして、アジアオリンピック評議会が主催する第16回アジア競技大会に、10人の棋士を日本代表選手として送り出した。「アジア大会、囲碁でメダルを」、「囲碁プロ、スポーツ大会へ」といった新聞の見出しをご記憶の囲碁ファンは少なくないと思う。
 囲碁がオリンピックの競技になる。それは私の長年の夢だった。1997年には囲碁を愛する有志によって「囲碁のオリンピック正式競技化を目指す世話人会」を結成し、「囲碁をオリンピックの正式競技に」という広告も打った。オリンピック競技になれば若い囲碁ファンが増え、囲碁文化を守り育てることにもなる。その強い思いからの取り組みだった。
 当時の目標は2008年北京オリンピック。そこでは叶(かな)わなかったが、2年後、アジアのオリンピックといえる大会で実現できたのだ。私が創案した囲碁のミックスダブルス「ペア碁」も男女団体と並んで正式種目に採用された。
 世界各国では囲碁はチェスなどと並ぶマインドスポーツとされ、囲碁の発祥地・中国でも中国棋院は国家体育総局に属している。オリンピックでサッカーやマラソン、柔道などと同じく囲碁のメダル争いに注目が集まる。その日を楽しみに待ちたい。