日本経済新聞 連載『あすへの話題』

2011年1月27日

囲碁人気への妙手「ペア碁」

 囲碁を始めたのは小学生のとき。紙やベニヤ板で碁石と碁盤を作って遊んだ。学生時代は囲碁部、そして今でもインターネット上で毎晩のように打っている。
 日本の囲碁人口は1980年代前半には1000万を超え、まさに国民的娯楽だった。が、その後は右肩下がり。囲碁に愛着が強かった私には見過ごすことができず、囲碁人気回復の妙手はないかと思案した。
 ブームをつくるのはいつも女性たちだ。私は「囲碁と女性」を切り口に考えた。そして創案したのが囲碁のミックスダブルス「ペア碁」。基本的なルールはこうだ。
 対局者は男女ペア同士とし、一つの碁盤で4人が交互に打っていく。初級者の女性でも参加しやすく、なにより女性が入ることで華やかになるのがいい。ペアの組み方で技量の差を均(なら)すことができ、ホームパーティーでの親子ペアの対局など社交の場にももってこいだ。国の元首同士がファーストレディーとペアを組む対局だってある。私はゲームを構想しながらそんなシーンもイメージした。
 対局中のパートナー同士の会話は禁止である。相手だけでなく自分のパートナーがどんな狙いで打ったのかも読まなければならず、それが、1対1では想像できないスリリングな展開をもたらす。「ペア碁」の感想をあるプロ棋士は、「勝つと嬉(うれ)しさ二倍、負けても悔しさ半分」と表現したが、見事に言い当てていると思う。
 今週の土曜日は、公益財団法人日本ペア碁協会が主催する「プロ棋士ペア碁選手権」の決勝戦。日本の囲碁界を代表するプロ棋士男女16組による最高峰のペア戦、私は大会役員を務めるが、囲碁ファンの一人としても見逃せない一局である。