創業来、販促分野を主な事業領域とし、ぐるなびサイトの運営等を通じて飲食店と消費者をつなぎ、日々の外食体験を楽しく満足度の高いものにすべく事業を推進してきたところ、当社が業績を回復し、再び成長軌道を描くための中期ビジョンとして、「飲食店の“販促支援企業”から“経営サポート企業”への進化」を掲げ、飲食店が厳しく激しい事業環境変化を乗り越えるための経営力向上を後押しするサービスの開発・提供を推進しています。
販促分野に留まらず飲食店の経営を多面的に支える事業やサービスを生み出すには、飲食店と消費者のみならず、生産者や食材卸事業者、不動産事業者等飲食店を取り巻くさまざまな事業者が抱える課題やニーズまでも理解し、飲食店の経営課題とつなぎ解決に導くことが重要と捉えています。
「飲食店経営サポート企業への進化」。これには、飲食店はもとより飲食店の多様なステークホルダーへの価値提供を新たに図ることで外食産業全体を根底から支えるという当社の決意を込めています。
中期ビジョンの実現に向けまして、①イートイン予約に留まらない「食の総合サイト展開」、②デジタル活用による「飲食店業務の効率化支援」、③飲食店・サプライヤー双方に役立つ「食材仕入れ支援」、これら3つの重点施策に取り組んでまいります。また、資本業務提携先との協業により、重点施策を強力に推進し、「飲食店経営サポート企業への進化」を加速いたします。
1. 食の総合サイト展開
多様な手段で飲食店を利用することができる、食の楽しさ溢れるサービス
当社は、従来のイートイン予約サービスに加え、テイクアウトやデリバリー注文、さらにはネット通販等を包括的に楽しむことができる「食の総合サイト」を展開し、消費者の多様な食ニーズにワンストップで応えると同時に、飲食店の販売チャネルの多角化による売上向上支援を目指しています。
「食の総合サイト」の中核を担うイートイン予約の強化につきましては、消費者により便利に外食を楽しんでいただけるよう、サイトの改良・改善に継続的に取り組むほか、ネット予約に対応する飲食店の裾野拡大を目的に、効率的な予約管理に役立つ予約台帳機能を備えた新たな加盟プランを開始いたしました。
また、テレワークの普及等による生活様式の変容を背景に、飲食店で作られた料理を家庭でも味わいたいという消費者ニーズの定着が見込まれることから、デリバリーサービスを強化いたします。
飲食店にとって新たな売上を生み出す有望なビジネス分野であるものの、店舗自ら料理を届けることが困難なことからサービス参入を断念するケースが特に規模の小さなお店で起きています。他方、消費者からすると大手外食企業の安定感あるメニューから個人経営の飲食店の名物メニューまでバラエティに富んだラインナップの中から好みの料理を選ぶことができれば、より充実した食事を楽しむことができるでしょう。
そこで当社は、2021年7月に楽天グループ株式会社より承継した主に自社で配送を行う宅配専門事業者向けのデリバリーサービスに加え、配送機能を持たない中小規模の飲食店でも容易にデリバリー事業に取り組めるよう外部の配送パートナー企業との連携による新たな仕組みの構築に着手いたしました。
デリバリー市場は、多くの支援サービスが存在する競争激しい領域ですが、資本業務提携先である楽天グループ株式会社が持つ楽天会員(1億以上)に対するイートイン予約・デリバリー注文等のクロスユースおよびリピートユース促進を通じたマーケティングコストの効率化や、当社の持つ加盟店ネットワークやサポート体制を活かした効果的な提案活動等により、持続可能なビジネスモデルを創出し、飲食店の売上づくりを多面的に支援してまいります。
2. 飲食店業務の効率化支援
デジタルの力でサービスクオリティを引き上げ、消費者の食体験価値を高める
多くの飲食店の現場では、情報管理は紙ベース、注文をはじめとする各種業務は手作業で行われており、外食産業はデジタル化による経営変革の余地が大きい産業の一つです。
当社は、これまでも予約や顧客の情報管理に役立つ「ぐるなび台帳」やポスレジシステム「ぐるなびPOS+」のほか、マルチ決済システム「ぐるなびPay」等デジタルの力を用いた飲食店業務の効率化支援サービスを拡充してまいりました。その一環として、新たに飲食店での注文・決済を来店客自身のスマートフォンで行うことができる「ぐるなびFineOrder」の提供を開始いたしました。
今後、飲食店内での注文・決済機能に加え、前述の「食の総合サイト」で展開するイートイン予約やテイクアウト・デリバリーの注文等の機能をシームレスに集約することで、消費者がどこからでもスマートフォンを通じ、その時々の希望に応じた飲食店利用を楽しめるサービスへと発展させてまいります。
3. 食材仕入れ支援
販促領域のおよそ10倍の5兆円と大きな事業機会を持つ食材領域へ本格参入
飲食店の食材コストは業態によって違いがありますが、売上高に対し3割程度と大きな比率を占めるとされていますので、飲食店にとって食材領域での業務改善は収益性を高めるための有用な取り組みです。具体的には、適切な量・タイミングで仕入れを行い食品ロスや欠品を低減する発注業務の精度向上や、料理の質の維持・向上や新メニューの開発を行うために必要な新たな仕入れ先の開拓等が挙げられます。
そこで当社では、まず定期的な発注業務をスマートフォンで簡便に行え、発注履歴や納品スケジュール等を一元的にデジタル管理することができる「ぐるなび発注」の提供を開始し、さらに飲食店・サプライヤー双方にとって新たな取引先の開拓に役立つECサイト「ぐるなび仕入モール」の構築・強化に取り組む等、食材領域における事業展開を本格化しています。
将来的には、食材等受発注支援サービスがリアルタイムに集積する商流データや出荷・納品に関する情報等のほか、前述の「ぐるなびFineOrder」をはじめとしたデジタル活用による飲食店業務の効率化支援サービスが蓄積する当社独自の消費データを活用することで、輸送コストの低減等に資する物流の効率化支援や、食品ロスの低減につながるサービス等にも取り組み、真に豊かな食の未来の創造に貢献したいと考えています。