投資家情報

社長メッセージ

社長メッセージ

中期事業方針について
(2023年度 ▶ 2025年度)

日頃より当社事業活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

およそ3年にわたるコロナ禍が、新型コロナウイルスの5類感染症への引き下げという大きな転換点を迎え、当社主要顧客である飲食店においては、再び外食を通じて“人を幸せにする力”を大いに発揮することが期待されます。

消費者においては、コロナ禍という未曾有の経験から外食に対する意識等に変化が生じていると考えられます。具体的には、テレワークの浸透を背景に仕事帰りに気軽に立ち寄るといった日常的な外食機会が減少する一方、「いつ・誰と・どのように過ごすのか」等一つひとつの外食に対する目的意識がより明確になっているのではないでしょうか。また度重なる外出自粛や行動制限の要請が、外食でのリアルなふれあいを通じ喜びを共有する楽しさを再認識する機会となり、飲食店に対し以前に増して“外食ならでは”の体験価値を求める傾向が高まっていると捉えています。その他、「Go To Eatキャンペーン」をきっかけに「ネット予約をして飲食店に行く」行動様式が広がっており、その手段としてGoogleやSNSの存在感が高まりをみせている等、飲食店情報サイトを運営する当社として看過できない変化も生じています。

飲食店にとって、こうした消費者の意識・行動の変化を捉え、来店客の期待により一層応える店づくりを行えるかどうかが今後の収益を左右すると考えられますが、他方で社会経済活動の再開に伴う人手不足の再燃や原材料価格や光熱費の高騰が経営の足かせとなっているのが実情であり、飲食店は多くの課題に取り組む必要があります。

そこで当社は、飲食店が限られたリソースの中で店舗運営の効率化を図りつつ、“外食ならでは”の体験価値をより多くの消費者に提供し続けられるよう支援することが、外食産業の持続的な発展ひいては当社企業価値の拡大につながるとの考えのもと、2023年度から2025年度までの3か年の中期事業方針を策定いたしました。

目指すは、「飲食店DXのベストパートナー」

新たな中期事業方針では、「販促分野に留まらず飲食店の経営全体を支援」という従前から掲げるコンセプトを継承しつつ、飲食店の生産性向上に直結する“集客活動” と“店舗運営”、これら2つの変革にフォーカスした以下のサービスに注力し、「飲食店DXのベストパートナー」となることを目指します。

(A) ぐるなびサイトの変革
~ 楽天会員にとって最も利便性・利得性の高いネット予約メディアへ ~

消費者の飲食店検索・予約行動において、従来の飲食店情報サイトとは異なるWebサービスの利用が広がりをみせる中、ぐるなびサイトを通じた飲食店への送客力を高めるカギは、ぐるなびサイトを身近に感じ、愛着を持って繰り返し利用する「エンゲージメントの高いユーザーの確保・拡大」にあると考えています。

そこで、日本最大級のユーザー基盤を持つ楽天グループとの協業を加速し、ぐるなびサイト内での楽天ポイント利用や楽天IDによる決済機能の実装等、楽天会員により便利にお得に外食を楽しんでいただけるサイトへの変革を図ります。加えて、ぐるなびサイトを訪れるユーザーの多様な外食ニーズを満たす掲載情報の拡充に向けて、外部サービスとの連携等を強化することで、楽天エコシステムにおける“ぐるなびサイト”の確固たるポジションを確立し、Webサービスの潮流に左右されない送客支援を実現してまいります。

(B) マーケティングエージェントの確立
~ 飲食店が取り組む集客活動全体の運用効率向上支援 ~

上述のとおり消費者の飲食店検索・予約手段が多様化する中で、飲食店が売上拡大に向けて様々なWeb集客サービスの導入・活用を進めるにあたり、人手不足が大きな制約となっています。
こうした状況を踏まえ、飲食店が取り組むWeb集客活動を一括支援することで、複数にわたるサービスの運用に伴い増大する飲食店の業務負荷を軽減すると同時に効果の最大化を実現する機能「マーケティングエージェント」を確立してまいります。また当社サービスに限らないあらゆる販促手法を用いた各店に最適なマーケティング戦略の立案から効果検証等を総合的に支援するための営業スタッフの育成ならびにサービス拡充を推進いたします。

マーケティングエージェント活動を通じて、飲食店が抱える課題やニーズの変化をつぶさにキャッチし、パートナー企業等との連携のもと、それらの変化に即したソリューションを迅速に開発することで、将来的には販促分野に留まらない総合的な飲食店経営コンサルティングへの発展を目指してまいります。

(C) モバイルオーダーサービスの基幹サービス化
~ 消費者の外食体験価値を高める便利で快適な店づくり ~

飲食店での注文・決済を来店客自身のスマートフォンで行うことができるモバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」は、飲食店にとって店内業務を省人化するだけでなく、来店客が店舗スタッフを呼び止めることなく好きなタイミングに注文できることから、注文点数の増加による客単価アップ等売上づくりの面でも効果を発揮しております。さらにはメニュー情報の多言語表示機能により訪日旅行者へのスムーズな対応を可能とする等、飲食店の現場オペレーションを多面的に支えるサービスです。

既にチェーン店領域においては、居酒屋業態や定食業態等で導入が進みつつあるところ、集客に役立つ「マーケティング機能」をはじめとする導入店からのニーズの高い機能の拡充を図り、より多様な業態への導入を進めると同時に、中小規模店舗向けの商品開発にも取り組むことで、「ぐるなびFineOrder」が使えるお店の拡大を図ります。これにより、飲食店で必ず行われる「注文・決済」という場面において消費者との新たな接点を生み出し、ぐるなびサイトに次ぐ第2の基幹サービスへと成長させてまいります。

(D) DXサービスの拡充
~ 上記A~Cの3つのサービスと連動した一体的DX支援 ~

上述の注力サービスを精度高くスピーディに当社の将来を支える収益基盤へと発展させるには、各サービスが独自の成長を遂げるのではなく、それぞれが互いの機能・価値を高め合う“相互成長促進”の観点が重要と捉えています。

そこで、AIやIoT等に関する優れたテクノロジーや知見を有するオプティムとの資本業務提携のもと、AからCの3つのサービスとも連動しつつ、飲食店運営の一体的なDX推進を後押しするサービスの開発や、当社と加盟飲食店をつなぐ外食産業向けデジタルプラットフォーム「ぐるなびPRO」のシステム強化等に取り組んでまいります。

当社独自の「情報資産」を活かし、豊かな食の未来の実現に貢献

飲食店情報サイト「ぐるなび」開設より30年目の節目となる2025年を最終年度とする中期事業方針のもと、私たちぐるなびは新たなスタートを切りました。

当社は創業来、「デジタル活用力」と「人的サポート力」の2つの強みを融合した飲食店支援を通じ、外食に関する様々な情報を蓄積してまいりました。今後さらに、中期事業方針のもと飲食店に対するDX支援を推進することで、情報資産の質・量の拡充を図ります。

この“外食の今と未来を捉える情報資産”を、当社の新たな価値創造の源泉とし分析・応用することで、時代とともに変化する社会課題に対応しながら、消費者の豊かで安全な食生活を守ると同時に持続可能な飲食店経営モデルの構築を支援し、さらには飲食店に限らない外食産業の担い手や食による地域振興に取り組む自治体などへの価値提供にもより一層取り組んでいきたいと考えております。

「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパスを経営の基軸に、独自の情報資産を活かし“食”と深い関わりを持つヒト・モノ・コトをつなぎ合わせることで、豊かな食の未来ひいてはより良い社会の実現に貢献すると同時に、中長期的な当社企業価値の拡大につなげてまいります。

今後も、より一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2023年6月 株式会社ぐるなび 代表取締役社長

杉原章郎